手すりのレンタルで自宅介護を安全に|種類と選び方のポイント

「最近、親が玄関で転びそうになって怖くて…」

「トイレから立ち上がるときに、いつもふらついている」

自宅での転倒は、高齢者にとって骨折や寝たきりにつながる重大なリスクです。実際、65歳以上の方の転倒事故の約8割が自宅内で発生しているというデータもあります。

そんな転倒リスクを大きく減らせるのが「手すり」です。しかも、介護保険を使えば月額数百円からレンタルできるため、経済的な負担も最小限に抑えられます。

この記事では、呉市で12年以上にわたり介護用品レンタルを提供しているマリン薬局が、手すりの種類から選び方、設置のポイント、実際の利用事例まで、実践的な情報を詳しく解説します。

なぜ手すりが必要?自宅での転倒リスクを知る

自宅での転倒事故は、高齢者の要介護状態になる大きな原因のひとつです。厚生労働省の調査によれば、要介護認定を受ける原因の約12%が「骨折・転倒」によるものとされています。

転倒が起こりやすい場所

高齢者が自宅内で転倒しやすい場所は次の通りです。

1.トイレ

便座からの立ち座りは、最も膝や腰に負担がかかる動作の一つです。狭い空間で転倒すると、壁や便器にぶつかるリスクもあります。

2.浴室・脱衣所

濡れた床は滑りやすく、浴槽のまたぎ動作も転倒リスクが高い場面です。入浴中の転倒は命に関わることもあります。

3.玄関

靴の脱ぎ履きや段差の上り下りで不安定になります。特に玄関は家の出入り口のため、手すりがあると外出への不安も軽減されます。

4.階段

上り下りの際にバランスを崩しやすく、転倒すると重大な怪我につながります。階段用手すりは両側に設置するのが理想的です。

特に呉市のようなは古い住宅も多い地域では、段差が多い構造の家が少なくありません。

こうした住環境では、手すりの設置が転倒予防に大きな効果を発揮します。

手すりがもたらす3つの効果

手すりを設置することで、次のような効果が期待できます。

効果1:転倒予防

体を支える支点ができることで、バランスを崩しても転倒を防げます。特に夜間のトイレなど、視界が悪い状況でも安全に移動できます。

効果2:自立した生活の維持

手すりがあれば、家族の手を借りずに一人で動作できる場面が増えます。「自分でできる」という実感は、精神的な自立にもつながります。

効果3:介護する家族の負担軽減

常に付き添って支える必要がなくなり、介護者の身体的・精神的負担が軽減されます。特に腰痛に悩む介護者にとって、大きな助けになります。

レンタル可能な手すりの種類

介護保険でレンタルできるのは、工事を伴わない手すりです。具体的には次のようなタイプが対象になります。

対象となる手すり

  • 据置型手すり(床に置いて使うタイプ)
  • 突っ張り型手すり(天井と床で突っ張るタイプ)
  • テーブル固定型手すり
  • ベッド用手すり
  • ポータブル手すり

対象外の手すり

  • 壁にビスで固定する手すり(住宅改修の対象)
  • 浴槽に取り付ける手すり(特定福祉用具購入の対象)

壁に固定する手すりは「住宅改修」として別の制度で支援を受けられます。

浴槽用手すりなどは「特定福祉用具購入」の対象です。マリン薬局では、これらの制度についてもまとめてご案内していますので、ご相談ください。

月額レンタル費用の目安

介護保険を使った場合の自己負担額は、次のようになります。

手すりの種類レンタル料金1割負担2割負担3割負担
据置型手すり(1本)2,000~6,000円200~600円400~1,200円600~1,800円
突っ張り型手すり3,000~8,000円300~800円600~1,600円900~2,400円
ベッド用手すり2,500~7,000円250~700円500~1,400円750~2,100円
テーブル固定型1,500~5,000円150~500円300~1,000円450~1,500円

※価格は製品の機能や素材によって異なります

マリン薬局では、予算に合わせた製品選びもサポートしています。「できるだけ費用を抑えたい」というご要望にも、しっかりと応えます。

手すりの種類と特徴

手すりには様々なタイプがあり、設置場所や使用目的によって最適なものが異なります。ここでは、代表的な手すりの種類と特徴を詳しく解説します。

●据置型手すり(床置き型)

特徴

  • ベース部分が重く安定している
  • 移動や位置調整が可能
  • 工事不要で賃貸住宅でも使える
  • 縦型・横型・L字型など形状が豊富

適した設置場所

  • 玄関(靴の脱ぎ履き、段差の昇降)
  • トイレ(便座からの立ち座り)
  • 廊下(歩行補助)
  • ベッドサイド(起き上がり補助)

マリン薬局でよくお選びいただく製品

玄関用には高さ調整可能なL字型手すりが人気です。段差の高さに合わせて調整でき、縦の部分で体を支え、横の部分で靴の脱ぎ履きができます。

トイレ用には、便器を囲むように設置できるフレーム型が安定感があり好評です。

選び方のポイント

  • ベース部分の重量をチェック(重いほど安定)
  • 握りやすい太さ(直径3~3.5cm程度が標準)
  • 高さ調整機能の有無
  • 設置場所のスペースに合うサイズか

●突っ張り型手すり

天井と床の間で突っ張り棒のように固定するタイプです。

特徴

  • 縦方向の支えとして安定感が高い
  • 天井の補強が不要な場合が多い
  • 高さのある空間に適している
  • 手すり部分の位置調整が可能

適した設置場所

  • 関(段差の昇降)
  • トイレ(立ち座り、歩行補助)
  • ベッドサイド(起き上がり、立ち上がり)
  • 階段の上り口・下り口

マリン薬局でよくお選びいただく製品

トイレ用の突っ張り型は、便器の横に設置することで立ち座りを強力にサポートします。手すり部分が上下に複数ある製品なら、身長や動作に合わせて好きな位置を握れます。

選び方のポイント

  • 天井の高さに対応しているか(一般的に2.0~2.7m)
  • 天井の強度は十分か(石膏ボードの場合は注意)
  • 手すり部分の数と位置
  • グリップの形状と握りやすさ

●ベッド用手すり

ベッドの側面に取り付けて使う手すりです。

特徴

  • ベッドのフレームやマットレスに固定
  • 寝返り、起き上がり、立ち上がりをサポート
  • 介護ベッドにも一般のベッドにも設置可能
  • 跳ね上げ式なら介護もしやすい

適した使用場面

  • ベッドからの起き上がり
  • 立ち上がり動作
  • 寝返りの補助
  • ベッドからの転落防止

マリン薬局でよくお選びいただく製品

跳ね上げ式のベッド用手すりが人気です。使うときは手すりとして、介護や寝具交換の際は跳ね上げて邪魔にならない設計です。握りやすい形状で、力の弱い方でもしっかり握れます。

選び方のポイント

  • ベッドの種類に対応しているか
  • 取り付け方法(差し込み式、固定式)
  • 手すりの高さと長さ
  • 跳ね上げ機能の有無

●テーブル固定型手すり

テーブルやデスクに固定して使う手すりです。

特徴

  • 座位からの立ち上がり補助に特化
  • 小型で持ち運びも可能
  • 工事不要でどこでも使える
  • 比較的安価

適した使用場面

  • ダイニングテーブルからの立ち上がり
  • デスクでの作業後の立ち上がり
  • 車椅子からの移乗補助
  • 外出先での使用

マリン薬局でよくお選びいただく製品

テーブルの天板を挟み込んで固定するタイプが主流です。食事の後、テーブルから立ち上がる際に使います。軽量なので、外出時に持って行く方もいらっしゃいます。

選び方のポイント

  • テーブルの厚さに対応しているか
  • 固定力は十分か
  • 持ち運びの頻度
  • 耐荷重

●歩行用手すり(ポータブル手すり)

歩行時に体を支える、移動可能な手すりです。

特徴

  • 室内の動線に沿って移動できる
  • キャスター付きで移動が簡単
  • 歩行器とは異なり、固定して使う
  • 複数箇所で使い回せる

適した使用場面

  • 廊下での歩行補助
  • リビングから寝室への移動
  • 日中と夜間で場所を変える
  • 複数の部屋を移動する方

マリン薬局でよくお選びいただく製品

キャスター付きでストッパーがしっかりしている製品が安心です。昼間はリビング、夜はベッドサイドといった使い方もできます。

選び方のポイント

  • キャスターのロック機能
  • 移動のしやすさと安定性のバランス
  • 握る部分の高さ調整
  • 通路幅に合うサイズか

まとめ:手すりで自宅介護を安全・快適に

自宅での転倒は、高齢者にとって骨折や寝たきりにつながる重大なリスクです。しかし、適切な場所に適切な手すりを設置することで、転倒リスクを大きく減らし、自立した生活を長く続けることができます。

この記事のポイントをおさらい

転倒リスクは自宅に潜んでいる

65歳以上の方の転倒事故の約8割が自宅内で発生しています。トイレ、浴室、玄関、階段といった日常的に使う場所こそ、最も注意が必要です。特に呉市のような古い住宅が多い地域では、段差や狭い空間が転倒リスクを高めています。

手すりは3つの効果をもたらす

手すりの設置は、転倒予防だけでなく、自立した生活の維持と介護する家族の負担軽減という、3つの大きな効果があります。「自分でできる」という実感は、本人の尊厳を守り、生活の質を高めます。

介護保険で月額数百円からレンタル可能

介護保険を使えば、手すりを月額200円から800円程度の自己負担でレンタルできます。購入すると数万円かかる手すりも、レンタルなら経済的な負担を最小限に抑えられます。

設置場所に合わせて最適なタイプを選ぶ

据置型、突っ張り型、ベッド用、テーブル固定型など、手すりの種類は多様です。設置場所や身体状況、住環境に合わせて最適なタイプを選ぶことが、安全で快適な介護生活への第一歩です。

手すりレンタルで変わる日常生活

本人にとって

  • 転倒の不安が減り、安心して家の中を移動できる
  • 夜間のトイレも一人で行けるようになり、家族を起こさずに済む
  • 自分でできることが増え、自信と尊厳を保てる
  • 外出への不安が減り、活動的な生活を維持できる

家族にとって

  • 常に付き添う必要がなくなり、自分の時間が持てる
  • 転倒事故の心配が減り、夜も安心して休める
  • 介助による腰痛などの身体的負担が軽減される
  • 「万が一転倒したら…」という精神的負担から解放される

手すり一本で、日常生活が大きく変わります。

ご本人の安全と自立、ご家族の安心と負担軽減。その両方を実現できるのが、手すりレンタルの魅力です。

手すりのご相談はマリン薬局までお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

マリンの介護用品スタッフ

広島県呉市を中心に福祉用具レンタル・販売サービスを提供しているマリンの介護用品のスタッフで運営しているブログです。
福祉用具専門相談員を中心に日々の訪問や相談業務の中で感じたことや、ご利用者様だけでなく、ご家族の方にも役立つ情報をお伝えできたら嬉しいです